【開催レポート】見る・登るだけではない、富士山の「真価」に触れる2日間。山梨サミットで開いた“学びのスイッチ”
2026年2月22日・23日。厳しい寒さの中に春の兆しを感じる山梨県富士吉田市・河口湖エリアにて、「旅と学びの協議会 山梨サミット」が開催されました。
今回のテーマは、「見る・登るだけじゃない!旅して学ぶ「富士山」〜信仰・まちづくり・産業の歩みと地域課題〜」。
日本の象徴であり、あまりに身近な存在である「富士山」を、あえて「まなびの素材」として捉え直しました。偶然にも、2月23日は富士山の日。約30名の参加者が集結した、濃密な2日間の軌跡をレポートします。
なぜ、今「富士山」を学ぶのか
「富士山は見るものでも、登るものでもなく、学ぶもの」
事務局が今回のサミットを企画する上で、絶対に譲りたくなかったのは、単なる観光旅行で終わらせない「学びの設計」でした 。
この地には、畏れ崇められてきた「信仰」、厳しい自然と共生してきた「まちづくり」、そして富士山の資源を活かした「産業」の歴史が幾重にも積み重なっています。そこで、約100年間この土地とともに歩んできた富士急行株式会社と連携し、それらの歩みを体感しながら学べるプログラムを組み立てました。参加者一人ひとりがこの学びを「自分事」として捉え、持続可能な未来を考えるきっかけにすること。それが今回のサミットの狙いでした 。
【Day 1】歴史と暮らしの解像度を上げる、圧倒的な「街歩き」
初日、参加者の「学びのスイッチ」を入れたのは、ふじさんミュージアムでの視察でした。ただ展示を眺めるのではなく、「富士山とは何か」という本質的な問いからスタートしたことで、その後のフィールドワークの解像度が劇的に変わりました 。
信仰の道、再生の街
午後からは、株式会社ふじよしだまちづくり公社の渡辺一史さんのご案内による街歩きへ。
- 上吉田ルート:かつて富士講の信者たちが宿泊した「御師(おし)」の家が並ぶ、信仰の街
- 下吉田ルート:伝統の織物産業を背景に、空き家再生が進むクリエイティブな街
特に、普段はなかなか立ち入ることのできない御師の家での体験は、参加者の想像力を大きく膨らませました 。ストーリーを知らなければ見過ごしてしまいそうな古い建物が、実は地域の誇りであり、未来への種であること。現地の人と対話し、その土地の「文脈」に触れることで、参加者の表情は真剣なまなざしへと変わっていきました 。
【Day 2】産業と自然を「仕組み」として捉え直す
2日目は、地域の持続可能性を支える「企業活動」と「自然資源」にフォーカスしました。
富士急行株式会社のオフィス訪問で見えた、地域企業の在り方
本社訪問では、「めぐるオフィス つながる未来」をコンセプトにつくられたオフィスを視察 。地域インフラを担う企業が、どのように社員を育成し、地域貢献と成長を両立させているのか 。企業の拠点が単なる働く場所ではなく、地域への感動を発信する拠点となる。その覚悟に、多くの参加者が刺激を受けました 。
河口湖上で生まれた、決定的な「対話」
サミットのクライマックスの一つは、河口湖遊覧船「天晴」の乗船体験。事務局が「環境が対話を生んだ」と振り返る通り、富士山を仰ぎ見る開放的な空間で、参加者同士の垣根が完全に溶け合いました。富士山グッズを身につけ、笑顔で写真を撮り合う姿は、単なる参加者という枠を超え、志を同じくする「仲間」になった瞬間でした。
サミットの締めくくりは、富士急ハイランドにて
エンターテインメント産業が地域経済・雇用・観光流動に与える影響を理解するため、最後は富士急ハイランドの園内を散策しました。テーマパークが担う集客の役割や、多世代・多層ターゲット設計の重要性、そして観光消費と周辺地域への波及効果をまなぶポイントとし、地域に根ざした企業が、どのように事業・組織・人材を通じて地域と関わっているのかを垣間見ることができました。
事務局が語る「舞台裏」と、心地よい「筋肉痛」
サミット後の振り返りミーティングでは、事務局メンバーから「とても大変だったけれど、非常に充実した2日間だった」という本音がこぼれました。
現地でのタイムスケジュールの変動など、ハプニングもありました。しかし、それらを含めて「手作り」で進めてきたからこそ、会員同士の距離が縮まり、予定調和ではない深いまなびが生まれたのです。
事務局が今回の旅を一言で表すなら、それは「次につながる旅」。
行って終わりではなく、学んだことを自分の人生や仕事、そして社会へと繋げていく。その手応えは、心地よい「筋肉痛」のような感覚としてメンバーの心に残っています。
山梨から、次のフィールドへ
「学びの旅をするなら、その土地を深く知る人と対話すべきだ」
山梨サミットで得たこの確信は、協議会の大きな財産となりました。参加者がそれぞれの日常に戻ったとき、富士山の見え方は以前とは全く違うものになっているはずです。
山梨で灯った学びの火は、次なる開催地へと引き継がれます。旅は、人を、そして地域を変えていく。「旅と学びの協議会」の探求は、これからも続きます。
文責:旅と学びの協議会 事務局(ANAホールディングス)






