〜出口先生メッセージ〜
旅をすれば人と出会い、多彩な価値観に出会います。
コロナ禍を経験した僕たちが旅に出てどう変わったのか、旅人を迎える地域の取り組みがどう変わったか、そういう観点から今日は確かな問題意識を持って取り組みたいと思っています。
それでは、みなさん一緒に旅と学びの話を聞きましょう!
協議会が考える
「旅と学び」とは?
まず本協議会の設立背景ですが、「知識習得型」の教育から21世紀型スキル「未来を切り開く力」を身につけていこう、ということから、日常(コンフォートゾーン)から飛び出して、アンコンフォートゾーンで21世紀型スキルを身につける経験が大切で、それには「旅」が最適なのではないかと考えています。
そこで、旅と学びに関する仮説検証を行って、これまで行われてこなかった検証に挑戦しようということになり、今3期の活動をしております。
我々がどのように旅を捉えるか、学びを捉えるかというのは、我々なりに考えていかなければならないということで、ディスカッションをスタートしています。これは最終版ではないもので、これからどんどんアップデートしていくものです。
この体系化に取り組むプロジェクトも立ち上がりましたので、ご関心のある方はぜひ一緒に活動できればと思います。
学びとしては、協議会が考えているものはこのようなものがあります。
・21世紀型スキル、ジェネリックスキル
・Well-being
・学びのプロセス(経験学習理論)
・五感で楽しむ、自分のものさし、価値観の変容
4期以降は、「五感で楽しむ」ということにも注力していきたいと考えています。
上甲氏:こんにちは。日本アイ・ビー・エム株式会社の上甲と申します。よろしくお願いいたします。
私から研究部の活動と、その成果の一つであるプロジェクトのご紹介をさせていただきます。
■研究部の活動
研究部の活動としては、これまでこのシンポジウムでもお話していたように、旅と学びを科学するというところをやっております。
「旅」と言っても色々あるし「学び」にも色々ある中で、研究部では、各自が関心のあるテーマを持ち寄って議論を行い、同じ関心を持つメンバーでプロジェクトを立ち上げるような形で活動しております。
テーマの例としては、「サイクルツーリズム」や「アカデミックツーリズム」をはじめ、もう少し抽象的なテーマですと、「同じ場所に繰り返し行く意義って何だろう?」ですとか、「計画を敢えて立てない意義って何だろう?」「旅と学びを体系化しよう!」など、具体的なものから抽象的なテーマのものまで、各自の興味のままに活動をしております。
本日は「短期海外留学プログラムにおけるグループでの学び、人と人との繋がりと学び」というテーマで、APUさんと一緒にプロジェクトを進めましたのでご紹介します。
APUの筒井先生、チョン先生、カッティング先生という方々と一緒に進めておりました。
■分析結果
では、着目すべきキーワードは何を選んだかと言いますと、グループの学びに着目して「任せる」という言葉を抽出しました。
「任せる」という言葉がレポートの中で具体的にどのように使用されているかというと、
現地の人(韓国人)とのコミュニケーションを、グループの中で韓国語ができるメンバーに「任せる」という使われ方が多く出てきました。
では、その「任せた」経験がどのような学びに繋がったかと言いますと、グループで協力して取り組むことの大切さが分かったという感じで、プログラム終了後の内省・振り返りを通じて、自分なりの学びを得たという事です。
学び方も色々で、旅の中でも振り返りがあるので、旅の最中に気づくといった事もありました。
(レポートの例② 青字下線部分)
【気づき】
↓
【学び】
<参考>
参考までに、「任せる」というキーワードは結構重要で、教育分野では'フリーライダー'という課題があるのですが、今回レポートの中からキーワードとして「任せる」という課題を象徴するような言葉が浮かび上がってきたのは結構興味深いことだなと思います。
教育的仕掛けと学びの関係性なのですが、
先程のレポートに戻って、「現地の人との交流を任せきりにしてしまった」という文章の前部分を更によく読んでみると、
これら(青字下線部分)は、具体的な経験の振り返りを通じた学びであり、教育的仕掛けによって生まれた学びなのではないかなと思います。
今回は、短期海外留学プログラムを例に分析を進めました。今後も、こういった形で、旅と学びの関係性を丁寧に紐解いていくことで、どんどん新しい気づきを見出していければと思います。
ありがとうございました。